1. ハイランズ・ガーデン・ビレッジは1996~2007年、閉園した遊園地跡地に計画された複合住宅地開発で、全306戸、敷地面積は約12ha。63のシニア住宅、74のマルチファミリー住宅、52のシングルファミリー住宅、33のコハウジング(全体図で青の地区)、26のリブワーク(SOHO型)住宅、店舗等があり、その間を緑豊かな共用の庭及び通路が巡らされている。元々の遊園地の玄関口をHistorical Walkとし、メリーゴーランドの屋根を残して街のランドマークとする。屋根付きの半屋外空間は、コミュニティスペースとして利用されている(写真1)。
2. ハイランズ・ガーデン・ビレッジの開発地南側の街区は周辺と連続するように戸建て住宅を配し、北へ行につれて建物の密度を下げて共用の庭や公園を多く配置している。最も北側の通りに面して、スーパー、カフェ等の生活便利施設を配し、近隣からの利用も促している。また歴史あるElitch Gardens Theatreを保存し、NPOによりコミュニティイベント等を実施している。
3. アリアは2009~2019年での開発計画が進む、修道院跡の複合住宅地で、全400戸、敷地面積は約7ha。1期では28のコハウジング、72のアパートメント等が建設された。現在街の入り口のカフェ等の商業施設が建設中である。
1. ハイランズ・ガーデン・ビレッジには1階がオフィスで2・3階が居住空間のリブワーク住宅、ガレージ上の2階にアクセサリーデュエリングユニットと呼ばれる賃貸住宅を併設した分譲住宅など、多様な住宅タイプが混在し、画一的でない街並みとなっている(写真2)。アフォーダブル(低所得者向け)住宅は、デンバー市に設置規制がないものの、自主的に20%設けている。家賃は$800~1,000/月(周辺相場は$1,500~1,800)。シニア用住戸では65戸中40%がアフォーダブル住宅である。
2. アリアのすべての住戸タイプにアフォーダブル住戸を計画。政府の制度により、13億円の工事費の内、2億円の補助金を受けて財源としている。ジェントリフィケーション(家賃の相場が上がり、それまで暮らしていた低所得者が立ち退きなどによって住居を失ったり、それまでの地域コミュニティが失われたりすること)を抑える為、ヘルスケアやジョブトレーニング等の独自のプログラムを実施している。
3. アリアでは補助金で農地を取得し、住民が共同で運営するコミュニティーファームを提供している(写真3)。また補助金でプログラムコーディネーターを雇い、ヨガやフェイスペイント、料理教室などのイベントを開催。近隣地区や大学までを結ぶ周辺の歩道を整備するなど、大きなコミュニティの交流も図られている。
報告者 | 今井圭・安部拓郎・本多雅子 |
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視察日 | 平成30年7月14日(土) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2018米国住宅地開発事例視察調査報告書(今井圭氏・安部拓郎氏・本多雅子氏)掲載原稿を要約 |