1. ダウンタウン中心部は、かつて居住者の多い地域ではなく、市街地で就業する人の多くはフリーウェイを数十分走ったところにある郊外型のニュータウンに居を構えた。こうした車依存型のライフスタイルが見直され、1980年代からTOD型の都市開発が行われるようになった。
2. デンバーのダウンタウンの中心部16番街は35年ほど前から一般車両の進入を禁止し公共の無料バスと歩行者のみが通行できるトランジットモールと呼ばれる形態で開発されてきた。無料バスは早朝から深夜まで約5から10分間隔で運行されている(写真2)。
3. 公共交通機関の利用で生活に困らないという都市型のライフスタイルを好む若年層が増え、都心部の環境が整備され付加価値が向上することで、高収入層が転入し、商業も活性化するという好循環が生まれる。駅周辺では駅裏地区においても複数のコンドミニアムが建設中である。自動車移動だけに頼らないデンバーの中心市街地はジェントリフィケーションサイクル(都市の居住地域を再開発して高級化すること)の最中である。
1. 歴史的建造物としても有名なユニオンステーションは、駅舎自体がホテルやカフェとして活用されており、駅から伸びる鉄道はデンバーにおける重要な交通手段として、2016年4月にはデンバー国際空港と市内を結ぶ新路線も開通した。
2. 16番街は車道と歩道の境目があいまいだが、一般車両の乗り入れを禁止することである程度の危険を排除している。車歩道間の段差を調整したり、歩道が広く感じられるよう舗装デザインを統一したりと、歩行者への配慮がなされている。今後は社会実験として、無料バスも運休させ、より歩行者向きの通りにしようという試みも検討されている(写真3)。
3. 米国では住宅購入を「投資」と捉える傾向が強い。子育て環境を求めて郊外の一軒家に住み、老後に都心部へ戻ってくるという発想が生まれやすい。そのため、住宅の付加価値を高めるためメンテナンスを怠らない。
報告者 | 大木迪晴・白鳥高・磯貝茂・西川剛史 |
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視察日 | 平成30年7月14日(土) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2018米国住宅地開発事例視察調査報告書(大木迪晴氏・白鳥高氏・磯貝茂氏・西川剛史氏)掲載原稿を要約 |