1. 無秩序な都市の拡大を抑制し、周辺の自然を保護するために、1,976年から厳格な都市の成長管理政策を導入した。周辺部にグリーンベルトを整備することで都市の拡散を防止し、市が計画的に緑地を取得し維持・管理することで、自然環境や景観・農地の保全を行う。山岳景勝地に囲まれた景観や自然環境を保持するために、新築の建物に55フィートの高さ制限を設ける。また標高5,750フィートにブルーラインという規制線を設け、その線から上では上下水道やガスの供給を行わないことで、住宅の建築を規制しており、ロッキー山脈の山肌には人工物が見当たらない(写真1)。
2. 都市部のスプロール化(無秩序な拡大化)の抑制、自然環境や景観の保護を目的とした独自のオープンスペース計画があり、市内には公園やサイクリング道路等、多数のオープンスペースが設置されている。現在では計画がほぼ満たされ、市街地を取り囲むように「グリーンベルト」が形成されている。
3. 1960年代から郊外型のショッピングセンターが作られ、ダウンタウンの中心であったパール・ストリートが衰退した。1970年から1977年にかけて、パール・ストリートの11番から15番までの4ブロックから自動車を締め出したペデストリアン・モール(歩行者専用道路)にするという再開発が行われた(写真2)。
1. パール・ストリート・モールに入る商店は、地元オーナーによる店で構成されているため、郊外型のショッピングセンターが入るチェーン店との競合がなく、共存が図られている。モール内には、ストリート・ファニチャーやベンチ、さらには噴水や砂場が設置されている。そこでは音楽や各種大道芸が行われたり噴水で水浴びをしたり、砂場で遊ぶ子供達が見受けられるなど、歩行者専用道路というよりも公園のようであり、公共空間を豊かなものにしている(写真3)。
2. 歩行者が安全・快適に買い物や散策を楽しむことができるため、地元住民が集い、観光客も訪れる街となった。公共空間を豊かにすることで、付加価値を生み出し、ダウンタウンの活性化に成功している。これらの公共空間は、40年に渡りボールダー市によって維持管理がなされている。
報告者 | 磯貝茂・西川剛史・大木迪晴・白鳥高 |
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視察日 | 平成30年7月13日(金) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2018米国住宅地開発事例視察調査報告書(佐々木宏幸氏、磯貝茂氏・西川剛史氏・大木迪晴氏・白鳥高氏)掲載原稿を要約 |