1. 枝葉が横に張り出すジャカランダと左右の建物を繋ぐ上部のバナーで囲われ感を演出。(写真3)高層の建築物はあまりなく、簡易な休憩スペースやストリートごとにオブジェなどのアイストップを設け、歩行者が長時間買い物や散策することへの配慮と、歩行者目線でプロムナードを歩くことへの視覚的な誘導を図る施策がとられている。
2. 衰退を経て行われた再開発は、当初のスケールそのままに魅力的で人が集まる場所について考えられ、狭い自動車用道路空間と約10mにもなる広い歩行者用空間により、自然的に自動車が排除されて集客が増え、進入禁止のボラードを下ろすことなく、常時歩行者占有の空間とすることに成功している。
3. ショップの一つ一つや植物に視線を向けると空間としてとても綺麗で、特に床面は色合いが落ち着き、全体の雰囲気の印象構成に大きな影響を生んでいる。映画のロケ地に使われた話が多く、サンタモニカ・プレイスを含めて商業とエンターテイメントが身近に融和した目的別に楽しめるエリアである。
1. サンタモニカ市は、カリフォルニア州の88市が集まって構成されるカウンティ(郡)に含まれ、2016年現在人口約90,250人の街である。都市の境界には、西に太平洋のサンタモニカ・ベイ、北にパシフィック・パリセ-ズとブレントウッド、東はウェスト・ロサンゼルスとマー・ビスタ、南にはベニスがあり、ロサンゼルス大都市圏における観光保養地として有名な衛星都市である。
2. ロサンゼルスの中心部とは車で約30分圏内に位置し、鉄道やハイウェー網の発達した交通の要衝で、2016年5月20日にはロサンゼルス・メトロのエキスポラインがサンタモニカまで延伸開通し、ロサンゼルスのダウンタウンとサンタモニカが鉄道で結ばれ、週末の車渋滞を回避することで更なる誘致が見込まれる。
3. ロサンゼルスでは1900年代初頭、路面電車が走っていたが、石油会社やタイヤメーカーを保有する財閥が鉄道会社を買収した後に全て廃止。現在は通勤者の約86%が自家用車での通勤。サンタモニカも同様の交通事情を抱え、ブローウェイには「交差点を塞いだら罰金500ドル」の標識もあるが、赤信号での交差点進入に歯止めがかからず、監視カメラも破壊されてしまう状況にある。
報告者 | 中村 賢児・阿部 倫 |
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視察日 | 平成29年7月15日(土) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2017米国住宅地開発事例視察調査報告書(中村 賢児氏・阿部 倫氏)掲載原稿を要約 |