カリフォルニア州
1. ビレッジ・ホームズは「1.生態学的に持続可能」「2.植物やエネルギーの自給」「3.行政に頼らない」の3点を掲げて開発された。敷地内には戸建住宅の他にアパートやオフィス、コミュニティ施設、レストラン等がある他、敷地全体の約25%が芝生で覆われたグリーンスペースや菜園スペースとなっており、上記3点を満たすための様々な工夫が施されている。(写真1)
2. 歩車分離方式を採用し、車道は狭く曲線を取り入れた形状とすることにより、車のスピードを抑制している他、クルドサック(袋小路)方式を採用し、住民以外の車の進入を防いでいる。また、市内の自転車道ともうまく融合した街並み設計を施し、歩行者、自転車、自動車の三者の棲み分けが図れている。(写真2)
3. 住宅の区画は平均353㎡とアメリカの一般的な約1千㎡より狭い。ほとんどの住宅の屋根上に太陽光システムやトップライトが設置され太陽光の積極的な活用を図る一方、夏の強い日差しを遮る為の植栽や塀の配置、東西の隣棟間隔を狭くするといった工夫が施されている。(写真3)
1. 住宅所有者全員が1世帯あたり約150ドルの費用を拠出してHOA(Home Owners Association)という自治組織を設立。HOAは専属の庭師2~3人を確保し、グリーンスペース、菜園スペース等、共有地を維持管理し街の美観を保つ。レストランの運営も行い、そこで得た収益を管理費に補填することでHOAの運営経費を圧縮している。
2. 敷地内の各所に設置された総面積4.8haの菜園スペースにおいて様々な種類の野菜や果物、ハーブ等を多数栽培。住民は収穫物を自由に採取することができ、自分たちが消費する野菜の95%をまかなう。収穫された野菜や果物は敷地内のレストランでも提供される。
3. 各住宅の裏庭は境界フェンスを設けないポケットパークとし、住民同士の会話の機会を増やすことで親近感・連帯感を醸成するなどコミュニティの形成に寄与している。また道の両側は土がむき出しのままとし、オープンドレインを庭と一体化させて設置し、敷地内の植栽や菜園に貴重な雨水の域外流出を抑えている。
報告者 | 石田 和彦・大田 智弘 |
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視察日 | 平成29年7月15日(土) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2017米国住宅地開発事例視察調査報告書(石田 和彦氏・大田 智弘氏)掲載原稿を要約 |