サンフランシスコ
1. 開発面積7.3haに戸建て、集合住宅併せて359戸が建設されており、サン・アントニオ駅を降りると商業施設、戸建住宅、低所得者用タウンハウス、アパートメントといった多様な住宅形式を混合したミクストユースな住宅地が広がる。
2. 広々としたコモン・スペースを持つ比較的高密度な郊外型住宅地である。従来の車中心のアーバニズム開発が低密度な郊外コミュニティーを崩壊させて犯罪の増大を招いた反省から生まれたもので、徒歩中心で住民の顔の見えるTDNにより人々の絆を取り戻すことで犯罪を減少させるための施策である。(写真1)
3. TDNの考えをもとに資産価値を向上させる現在主流のニューアーバニズム開発へと進化した。ザ・クロッシングスはTODとTDNを融合させ、人々の絆を大切に徒歩中心の街づくりと、様々な階層の人々が共に住まうダイバーシティーを重視したプロジェクトである。
1. 徒歩で15分~20分あれば一回りできる広さできるほどコンパクトにまとまっている。街には各コミュニティーのシンボルツリーがある緑地オープンスペースがあり、ラウンドアバウトを中心に幹線が通る。そこに建ち並ぶ個々の住宅にもシンボルツリーがあり、街の統一感を形成している。
2. 徒歩中心の開発により、道路から直接、車が見えないよう住宅裏側に駐車するように配慮されている。道路幅は広く、宅地は歩道を挟んでセットバックされ、地盤面から高い位置に住宅が建ち並ぶ街並みは圧巻である。住宅から公園・緑地帯の見晴らしが良く、外で遊ぶ子どもや高齢者への安全への配慮が感じられ、公園に人の賑わいを想像させる設計になっている。(写真2)
3. 電柱の地中埋設による解放感や樹木の成長と共に街が成熟していくことの素晴らしさが手に取るように伺える。戸建住宅は、建物自体は非常にシンプルであるが、個々の玄関回りや庭に置物や飾り物が施されていることで個性が生まれ街の成熟に繋がっている。日本とは異なり、各宅地の境界は明確ではない。(写真3)
報告者 | 池田 哲也 |
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視察日 | 平成29年7月14日(金) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2017米国住宅地開発事例視察調査報告書(池田 哲也氏)掲載原稿を要約 |