オースティン
1. ミューラーのマスタープランの特徴は、明確な通りのヒエラルキーである。トランクストリート(幹線道路)沿いは大型集合住宅、コレクターストリート沿いはトリプレックスやデュープレックス(3家族もしくは2家族が住める戸建住宅)、ローカルストリートやアリーズ(裏路地)沿いには戸建住宅が立ち並び、各道路に秩序が与えられ、住宅形式も通りの規模ごとに計画されている。(写真1)
2. アリーズのような歩行者通路とバイクレーンを縦横無尽に配した、ペディストリアン・フレンドリーな道路ネットワークもミューラーの特徴である。将来的にはオースティン中心部に直結するLRT(低床系車両システム)をコミュニティの中心部にまで導入する計画を持ち、TOD(公共交通指向型開発)の考え方をもとに自動車に依存しない計画を目指す。
3. ミューラーは、グリーンアーバニズムを掲げ、開発区域の約20%をオープンスペースやグリーンベルトとしており、その街づくりは環境性能評価システムであるLEEDでメディカルセンターで最高位のプラチナ評価を、セントラル地区の住宅やオフィスでゴールド評価を獲得するなど、社会的にも高い評価を得ている。
1. 低所得者層への住宅供給を目的として全体の25%をアフォーダブル設定(affordable:手頃な価格)とする。
オースティン市の平均所得の80%を超えない世帯のみが購入可能というアフォーダブルレートは、土地建物総額1,350万円~2,400万円の価格設定で販売されている。(写真2)
2. 住宅開発は、13,000人の居住者を予定した大規模な開発であり、様々な家族構成や年収、人種の人々が共に居住することで、健全でサステイナブルなコミュニティが生じるという思想のもとに計画されている。
3. 空港跡地という地歴を活かし、当時の管制塔や木製の飛行機格納庫を保存・修復して、地域のランドマークにしたり、販売集客イベントで活用するなど、開発者の土地への愛着が感じられる。(写真3)
報告者 | 小谷 和宏・澤田 翔 |
---|---|
視察日 | 平成29年7月12日(水) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2017米国住宅地開発事例視察調査報告書(小谷和宏氏・澤田翔氏)掲載原稿を要約 |