テキサス州
1. リバー・ウォークの河川沿いの全長24キロメートルにおよぶ日陰の小道(遊歩道)に、何百軒ものショップやレストラン、ホテルが立ち並び、史跡、博物館等もあってダウンタウンの散策を軽快に楽しむことができる。(写真1)
2. 観光客や地元住民で賑わいを見せる街は、親水性の面から北米のベニスとも呼ばれている。遊歩道を歩き、河川内の観光船から周辺を窺うと水と人との距離がかなり近く感じられ、その距離感は日本ではあまり見られない光景である。
3. リバー・ウォーク沿いでは古い建物が解体され(写真2)、新たに集合住宅(すべて賃貸物件)が建築されている。(写真3)建ち並ぶ建物にはこの地方が石灰岩の産地であることを意味する造形物が使用されるなど、リバー・ウォークの再開発コンセプトである周辺との景観調和の面から、デザインコントロールが感じられる。
1. 1921年、大規模な治水対策として行われたリバー・ウォーク構想は、街中の河川を水門で仕切り、河川を運河のように利用し、水路と市街地の一体感を生かして商店や住宅を建設するもので1941年に完成に至るが、第2次世界大戦後にサン・アントニオの都心は活気を失ってゴーストタウンとなり、リバー・ウォークは浮浪者の溜り場となった。
2. 市は空洞化問題の解決のために、1963年に再開発のマスタープラン「パセル・デル・リオ(川の遊歩道)」を打ち出して再生に取り組み、1968年の万国博覧会の開催をきっかけに、リバー・ウォーク周辺の再開発は一気に進み、ホテルや商業施設、劇場の複合施設等もでき、現在のリバー・ウォークとなった。
3. 現在は、街中に張り巡らされた水路に沿って、多くのレストランやショップが建ち並ぶお洒落なスポットとなっている。観光船が2台すれ違うのがやっとの幅である水路沿いに御神木並みの大きな木が多くあり、古い歴史を感じさせる景観は、イタリアのべニスのように風光明媚で、満席の船が絶え間なく往来する姿が人気を裏付ける。
報告者 | 福武 栄一・切貫 秀行 |
---|---|
視察日 | 平成29年7月11日(火) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2017米国住宅地開発事例視察調査報告書(福武栄一氏・切貫秀行氏掲載原稿を要約 |