1. 歩行者と車の共存を前提とし、既存の道路と街をいかに関係づけるかということをテーマにしたストリートネットワーク重視型のプロジェクトで、街が都市の一部であるという考え方に基づいている。計画の中心を街区とし、ストリートの中にオープンスペースを配置しながら街の骨格をつくっていく。街区はフロントストリート・アリーウェイ(裏路地)・ペデストリアンパス(歩行者)の組み合わせで構成され、路上駐車帯による幅員制御と横断歩道による、自動車のスピードコントロールが取り入れられている。
2. 路上駐車帯と車をフロントストリートで処理している点については賛否があるが、その分、ペデストリアンパスを挟んで奥まったオープンスペースには、テーブルと椅子のあるテラスやバーベキュースペースが展開され、より豊かなコミュニティーが形成されている。各住戸の3階部分に塔屋を設けることによって、外観の特徴として街のスカイラインを形成している。お互いの視界を遮らないような位置に配置されている。(写真1)
3. シーサイドの建物は独自のアーバンコードといわれるデザインコードに支配されている。これは壁面後退等とは違った考え方で、敷地の中で建物を配置する範囲を規定するものとなっており、このコードを守りながら、アーキテクトが自由に計画を進める。コードは創造性を妨げることなく建物に適用させること、コミュニティーの性格を与える調和を確実にする一方で、多様性を推進せねばならないコードを基に建築家がデザイン力を発揮でき、統一感と、異なる個性の強調が同時に実現することになる。(写真2)
1. シーサイドの外壁の美しさを維持するために、この街で使える建築材料は、この50年間流通し続けているものでなくてはならない。これは、誰もが改修可能な普遍的素材に限定するという理念に基づいている。
2. アーバンコードにより規定された絶妙な配置と建物のスケールにより、程良い住戸間のスペースが生まれ、そこで行われる楽しげな日常的アクティビティーが容易に想像できる心地よいスケール感である。
3. 路上駐車を是とする歩車共存スタイルについては、ドライバーのマナーの良さと、横断歩道を設けることでドライバーの自発的減速を促すとの発想で、特に車の存在を邪魔に感じることはない。(写真3)
報告者 | 爲國 清治 |
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視察日 | 平成27年7月6日(月) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2015米国住宅地まちなみ視察調査報告書(爲國清治氏)掲載原稿を要約 |