1. <レクチャーにおける主な解説>
・HOAとは:
「Home Owners Association」の略。戸建住宅又はコンドミニアムに住む地域住民による組合組織で、活動内容は自分たちが住む街の魅力をより高めるために、公共スペースの計画的な維持管理、管理会社との交渉など多岐にわたる。住民から選ばれたボードメンバーと呼ばれる複数名の組合役員によって運営され、主に地域住民にとって利益になる施策を決定し、管理会社へ委託する。
・管理会社の役割:
HOAのボードメンバーは地域の住民から選ばれるため、管理会社への委託内容も地域によって様々で、管理会社は各HOAが何を必要としているかを把握し、それに応じたサービスを提供することが大切である。最近では提供するサービスをメニュー化し、必要なサービスだけを選ぶオプションタイプやマネージャーの時間給に応じて拘束時間分の金額を請求する弁護士タイプもある。
・マネジメントの問題:
HOAマネジメントで、問題となってくるのは地域住民がHOAに無関心であるということと、コミュニティ全体ではなく、自分の利益だけを考えるボードメンバーがいるということである。HOAの円滑な運営には地域住民の理解や関心は必須であるため、いかにボードメンバーや地域住民との良好な関係を構築できるかが管理会社マネージャーの重要な役割となる。
・マネジメントの問題:
住民はどうしても目先の管理費用などを気にして長期的なメンテナンスにまで目が向かないが、良い状態を維持するために、いかに長期的な視点を持たせるかが管理会社のマネージャーの腕の見せ所になる。また、ボードメンバーは任期制で、1年毎にメンバーが入れ替わるため、長期的なプランが立てにくい。よって管理会社のマネージャーの一貫性を持ったアドバイスが必要となる。
・アメリカ独特の税負担:
メロールースという都市開発税ともいうべき税金制度が存在し、これは新規住宅地の開発時のインフラ費用やメンテナンス費用の他、学校やその他公共施設など利用する人だけが負担する税金制度である。
・長期的視点に立った街づくり:
街の美観を維持するために各HOAには規約があり、例え自宅の敷地内でも好き勝手にゾーニングはできない。ホームオーナーから管理費を徴収し、個々の庭のメンテナンスを行うときに併せて前面グリーンベルトも同じようにメンテナンスする。そうすることによって、フロントヤードの景観が美しく維持され、街全体の美観をさらに向上させている。
報告者 | 天谷 正法・舘 智徳・水谷 洋・川住 和弘・吉福 慎二 |
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視察日 | 平成26年7月10日(木) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2014米国住宅地まちなみ視察調査報告書(天谷 正法氏・舘 智徳氏・水谷 洋氏・川住 和弘氏・吉福 慎二氏)掲載原稿を要約 |