1. <レクチャーにおける主なQ&A>
Q1:南カリフォルニア地域における住宅地開発のトレンドは?
最近の郊外型新築ではHOAによるコミュニティが増加傾向にあるが、例えばロサンゼルスの方になると大規模な住宅地開発が可能な土地が存在しないため、少数世帯によるコミュニティが形成されている。高層コンドミニアムでは、プールや会議室、コンピュータールームなど施設が充実していたり、ドアマンやエレベーターマンが居る様なサービスも提供されている場合がある。
Q2:HOAは購入時にどれほど重要視されているか?
中古物件の場合に最も重要視されるのは建物の内部であるが、例えばコモンスペースの状態が悪ければHOAの管理状況を問われることもあり、新築の場合、物件紹介時にランドスケープを伝えることがある。エスクロー(Escrow)がオープンするとHOAに関する調査が入ることもあり、物件の状態によっては修繕を要求する場合もある。さらに、買主にとっては管理組合費も注視ポイントとなる。
Q3:住宅取得の流れとは?
カリフォルニア州では必ずエスクロー( Escrow) 会社を利用することが義務付けられており、州によっては弁護士がその役割を担うところもある。エスクロー会社は日本における司法書士、弁護士、信託銀行の機能を併せ持った会社というイメージであり、カリフォルニア州での不動産取引においては、エスクロー会社という第三者機関を介することでより公平で安全な取引を実現させている。
Q4:郊外居住と都心居住の違い
郊外居住は学校や緑地が身近にあってのんびり住みたいという志向者に向いている。一方、都心居住はダウンタウンのコンドミニアムでセキュリティ等のサービスが充実した生活を得ることにステータスがある。
Q5:住宅購入の価値判断
購入者は大きな概念での住みたい街というものを決めており、そこで自分達で良好な街を作ろうという感覚はなく、HOAに関しても細かいルールまでは気にしていない。ただし、HOAが持つネームバリューは存在し、「ウッド・ブリッジ・ビレッジ」や「オーチャード・ヒル」等はその名前自体に価値がありブランド力を持つ。
Q6:近隣問題について
ゼロロットで配置計画されている街では、敷地内での空間の使い方による問題が出るケースがある。(バーベキューや遊戯など)
※ゼロロット:建物を片側の敷地境界線際まで配置しもう一方の空間を確保することで、狭い敷地を有効活用する方法。
報告者 | 小山 健二・村岡 純代・田中 栄司・小山 寛・武田 幸治 |
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視察日 | 平成26年7月10日(木) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏 (明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2014米国住宅地まちなみ視察調査報告書(小山 健二氏・村岡 純代氏・田中 栄司氏・小山 寛氏・武田 幸治氏)掲載原稿を要約 |