レッチワース市
1. レッチワースは、街路樹が大きく、建物はその間に見え隠れする。道路の両サイドは街路樹の足元の芝生帯、その内側にアスファルトの歩道、境界の生垣という構成が共通し、建物には前庭があり、道路からセットバックした配置となっている。バックヤードの庭は表からは見えない。道路を曲がるたび、通りの建物の外壁の色や形態が微妙に異なり個性がある。
2. 街の北部エリアにあるイーストホルム、ウエストホルムは、広々したビレッジグリーンをゆったりと、規模・形式の異なる住宅が取り囲み、ビレッジグリーンの道路側の一辺は生垣となる配置は、共通している。住宅は、大きく成長した樹木と共に風景に溶け込み、落ち着きのある穏やかな表情を見せている。
3. イーストホルム、ウエストホルムの設計にあたったアンウィンは、中世の村落において、村の中心に広がるグリーンがコミュニティの形成上、大きな意味をなしていたことに注目し、空間化したという。
1. 住宅の外壁はラフキャストというしっくいに小石・砂利を入れた白い塗り仕上げが多い。メンテナンスの状態が良く、真っ白な壁は、屋根の庇の出がほとんどないにもかかわらず汚れがない。茶色の小石の打ち込みの仕上げも所々見受けられる。屋根はタイルが多く、古びて渋い色が、年月の深みを感じさせる。材料は木・土等自然素材からなり、新建材は見受けられない
2. 住戸の形式・形態に多様性が感じられ、多様でありながら、使われている建築素材が絞られていること、豊かな植栽が共通の背景となり、ゆるやかな統一感がある。建物の増改築に際しては、デザインコードが提示され、建物改修には自治体や財団からの許可が必要となっていることも、統一した景観の保全の役割を担っている。
3. 「レッチワース・ヘリテージ財団」を中心に、住民による活発なまちづくり活動が、現在に至るまで続いており、財団の活動は、建物・環境の維持保全から、教育の振興、慈善事業のサポート、福利厚生関連まで多岐にわたる。
報告者 | 本多 由香 |
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視察日 | 平成24年7月11日(水) |
同行コーディネーター | 佐々木宏幸氏(明治大学 理工学部建築学科専任准教授) |
参考資料名 | 2012欧州住宅地まちなみ視察調査報告書(本多 由香氏)掲載原稿を要約 |